徒然なるままにか？

「待たせたなぁ、兄貴。」
「ふっ、時間にルーズなのは変わらんな。」
ここは東京のある居酒屋。　蔵臼と留弗夫はこうして時々島の外で会っている。
「最近どうだよ、家の方はよぉ。」
「まあまあだな。お前の方はどうだ。」
「そうだなぁ…。　やっと強情っぱりの戦人が帰ってきやがったな。」
留弗夫は口では悪態をついているが顔が自然に綻ぶ。
「ふむ、それは良い事じゃないか。」
「ところで朱志香ちゃんはどうなんだ？」
「あいつにはもっと右代宮家の跡取りとしての自覚を持って欲しいのだがね。」
蔵臼が溜息まじりに言う。
「そう言うなって。　朱志香ちゃんまだ18だろ？　これからしっかりしていくさ。」
「だといいんだがね。」
「ところで兄貴、何飲む？」
「ビールをもらおうか。　島では飲めんからな。」
「オッケー。すんませーん、ビール2つくださーい。」
留弗夫が注文してしばらくしてビールが届く。
「島で飲めねぇって事は夏妃姉さん、厳しいんだな？」
「ああ。『あなたにそのような飲み物はふさわしくありません』と文句を言われる。」
「へっへっへ。　そりゃ災難だな。」
「全く勘弁して欲しいものだ。　だからこうしてお前と飲むときだけさ、自由に酒をのめるのは。」
そして蔵臼がビールを飲みながら尋ねる。
「霧江さんはどうなんだ、厳しいのかね？」
「おうよ。　縁寿の前で煙草吸うなーとか、あんまり飲み過ぎるなーとか、細けぇ事にうるせぇんだよ。」
「ふっ、いい奥さんではないかね。　よく気配りが出来ているではないか。」
「うるせぇだけだぜ。」
「「はっはっはっ。」」